ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
「…さ、く…ちゃん…。」
「……おいで?」
そう言って腕を広げるさくちゃんに私は思いっきり抱きついた。
「‥うぅ~、…‥さくちゃ、…さくちゃん……おか、おかえりぃぃぃ……。」
私は嬉しくて溢れる涙を止めることができなかった。
「ずっと待っててくれて、ありがとな。」
そう言って私の頭を優しく撫でるさくちゃんの手が温かくて、心地よくて私はさくちゃんの胸に顔を埋めた。
「遅いよばかぁ……。」
「ははっ、ごめんごめん。」
私達が2人の世界に入っていると
「ちょっと~、お二人さん?」
「私達がいること忘れないでよね。」
と、言われた。
あ、そうだった…。
嬉しくてつい…。
「まぁでも、今日だけは特別に許してやらなくもない!」
「そうね。」
と和希くんと杏華が笑って言った。
「2人共ありがとうっ。」
私も2人に笑ってみせた。
「んじゃ~、俺と五十嵐は花火めっちゃ打ち上げてくっから!」
「しょーがないわね、今回だけだからね。」
そう言って2人は坂を駆け下りていった。
いや、杏華は後ろからのんびりと歩きながら下りていった。