ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
遠ざかる2人の背中を見つめているとさくちゃんが何かを思い出したように言った。
「そうだ、陽和。」
「うん…?」
私がそう言って首を傾げると、さくちゃんはポケットから小さな箱を取り出した。
「陽和、17歳おめでとう。」
そう言ってさくちゃんが箱を開けた。
「さくちゃん……なんでこれ……。」
箱に入っていたのは私がジュエリーショップで見つけた指輪だった。
「五十嵐にメールで教えてもらったんだ。」
だからあの時、杏華は携帯をいじってたんだ…。
さくちゃんはその指輪を私の右手の薬指にはめてくれた。
私は溢れそうになる涙を必死に堪えた。