ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
*最終章*

それから…




*


―あれから1年…。


今日は私達の卒業式です。


「陽和、おはよ。」


「おはよう、さくちゃん。」


これがさくちゃんとの高校生活最後の挨拶。


卒業したからって私達の関係が変わるわけじゃない。

それでもやっぱり寂しいものだ。


「うぅ~…卒業やだなぁ……。」


2人で手を繋ぎながら学校に向かう。


「卒業は寂しいけど、また皆で集まれるだろ?」


「そうだけど…やっぱり寂しい…。」


まだ学校にも着いていないのに、目には涙が溜まってきた。


「俺もやだよ?陽和といちゃつく時間減るし。」


さくちゃんが私の涙を拭いながら言った。


「私もやだなぁ……。」


「お、珍しく素直じゃん。じゃあ卒業祝いって事でちゅーする?」


素直に言うのは恥ずかしくて、黙ったまま頷いた。


たまには素直になったっていいよね…?




「素直すぎるのも調子狂うな。

陽和可愛すぎ……。」


そう言って私をギュッと抱きしめて優しくキスをするさくちゃん。


その優しいキスに、また涙が浮かんでくる。


「泣き虫。」


「だってぇ…。」


私を引き寄せて優しく包み込んでくれるさくちゃん。


「はいはい、もう泣かない。

涙は最後までとっておかなきゃだろ?」


「…ん、そうだね。」


そう言ってさくちゃんは、また軽くキスをした。


「よし、行くか!」


「うんっ!」


私達は再び並んで歩き出した。

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