ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
ありがとう
走って走って、気がついたら屋上にいた。
私の後を追いかけてきたのか杏華も息を切らしている。
「…ヒック……うぅ……さくちゃ、ん……グスッ……だい、すき……なのに…。」
杏華は何も言わず泣いてる私の背中をリズム良くぽんぽんと叩いてくれた。
その優しさが泣きそうなくらい嬉しい。
私が落ち着いてくると、杏華が話し始めた。
「陽和……私は陽和を信じてる。
浮気なんかしてないってわかってる。
だから、本当のこと教えて?」
私は小さく頷いてゆっくり話した。
話し終わると杏華は私を抱きしめてくれた。
「……陽和……さっき怖かったよね。震えながら必死に話そうとして偉かったよ。」
よしよし、と背中をさすってくれた。
私はただ泣きながら「うん、うん。」と頷くことしかできなかった。