ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
「私はあんた達にがっかりしたよ。」
杏華が強気で言った。その手は私の手をぎゅっと握っていてくれる。
「皆は今までどれだけ陽和の優しさに助けられてきたの?
この子は全部自分の責任だって言って皆を疑うなんてしなかった。
普通、こんな事されたら絶対に誰かを疑うはずよ。なのに陽和はそうしなかった。」
杏華が話すとクラスが一斉に静かになった。
その中にはさくちゃんの姿もある。
「それと、南くん!」
「え、」
杏華がさくちゃんの方を向いた。
「あんた陽和の幼なじみでしょ!!!
こんな事になってクラス中から色んな事を誤解されて、怖くて震えてたのに…‥好きなのに、どうして陽和を疑ったりしたの!?
陽和がこんな事しないって事は南くんが一番よくわかってるんじゃないの?
どうして、陽和を助けてあげないの?」
「ホントだよな。」
そこに七瀬くんも入ってきた。
「さっき陽和ちゃんは皆の前で本当の事を話してた。
俺と陽和ちゃんは早川さんに手伝いを頼まれて教室で待っていただけ。」
そう言うと、早川さんが言った。
「で、でもあの写真は?まさか私が撮ったって言うの?」
その目からは涙なんて出ていなかった。
「俺と陽和ちゃんはキスなんかしてない、本当に陽和ちゃんの目に入ったゴミを取ってあげただけだよ。それに、その後すぐに教室に入ってきた人は早川さんだった。」
「そ、そんなのたまたまでしょ!!他の人が撮ったかもしれないじゃない!それに、七瀬くんは陽和ちゃんの事が好きなんでしょ!!」
ど、どうしよう……。
私のせいだ……。
怖くなって杏華の手をぎゅっと握った。
すると、杏華が「大丈夫。」とでも言うようにぎゅっと握り返してくれた。
「確かに俺は陽和ちゃんが好きだよ。
でも告白して、ちゃんと振られた。
それにあの写真を撮るにも、放課後この教室の近くに残っていた生徒なんてほとんどいないはずだ。
だから、早川さんしか出来ないんじゃない?
それに撮ってないなら何で嘘泣きなんかしたの?」
七瀬くんがはっきりと言った。
早川さんの顔はしまったという顔をしている。
え、……まさか…‥。
しばらくの間教室中が静まりかえっていた。
その沈黙を破ったのは早川さんだ。
「あーあ。もうばれちゃった。」
…………え、?
嘘……だよね?