キミにだけは遠慮しない
私を変える出会い
1、私を変える出会い

「今年も桜綺麗だね~!」
「ね~!てゆーかそろそろ運命の王子様とか現れてくんないかなぁ〜」
「それな〜!まぁうちの学校は王子なんて…ひぃっ!!」
「…朝っぱらからうるせぇんだよ。」
私は、私の席の周りで喋っていた女子達を追い払った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーガタンッ。
呆れながら椅子にドカッと座った。
「…今日も朝からうるせー奴らばっかりだな」

四月。私は高校二年生になった。
周りの女子どもは皆、クラスがどーだの、彼氏がどーだの、キャーキャーうるせぇ。
ちなみに私も女子だが、そんなのには1ミリたりとも興味ない。
恋愛なんて…尚更…。

「おーい、皆席着けー。今日は転入生が来たぞー!」
先生の声がするとクラスメイト達は、皆ガヤガヤしながら席に着く。
…なんだよ、またうるせーのが増えんのか。
私はため息を付きながら頬杖をついた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーガラガラガラッ。
教室中がシーンとなり、皆息をのんでドアを見つめていた。
そしてその後、世間でいう“イケメン”ってやつが、教室に入ってきた。
「えー今日からこのクラス、二年D組に転入してきた、青木田健太郎君だ。…青木田君、自己紹介をしなさい」
「え、待って待って。超イケメンじゃない!?」
「ヤバい〜〜〜!!ウチ一目惚れしたかもっ!」
「モデルとかやってそ〜!カッコよすぎっ!!」
クラスの奴ら(特に女子)は、キャーキャーと黄色い歓声をあげていた。
「コラコラ。皆静かに。青木田君が自己紹介出来ないだろう」
先生が注意すると、歓声は少し収まった。
「…今日からこのクラスでお世話になります、青木田健太郎です。皆さんと早く仲良くなりたいです。よろしくお願いします」
ソイツはペコリという効果音がつくようにお辞儀した。
そしてお辞儀が終わり顔をあげると、ニコッと笑った。
「キャ〜〜〜〜〜〜!!!!」
クラスの女子はまた一斉に黄色い歓声をあげた。
中には、鼻血を吹く奴もいた。
…くだらねぇ。
私は頬杖をつきながらそっぽを向いた。
今なら『I LOVE 耳栓』と言えるくらい、耳栓が欲しかった。
「青木田の席は、窓から二列目の席の後ろから二番目。大島の隣だ」
…え、私の隣?
あ、ちなみに私の名前は大島里緒。
アイツが隣に来たら…ますますうるさくなるじゃねーかよ!
「…よろしくね。大島さん」
いつの間にかアイツがいて私の方を見て笑っていた。
「………………」
私は目も合わせずにそっぽを向いた。
よろしくする気なんて…ねぇもん…。

この時、コイツとの出会いが自分を変える事になるって事は、知る余地もなかった…。
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