可愛い弟の為に
「そう…皆さんに宜しくお伝えください」

「オッケー!」

桃ちゃん、本当に楽しそうだなあ。

…しかし、僕の日常がバレているというのが何とも複雑。

迂闊に行動出来ないではないか。

それにしても、透は凄いな。
人の心を鷲掴みにする。

桃ちゃんは助手席でスマホを見ながら何度か奇声を発した。

どうも透の事で盛り上がっているようだ。



3月下旬から5月半ばまで、毎日が異常に慌ただしく、忙しかった。

だか、この日から少しだけ、時間がゆっくりと流れてくれるような気がする。

透もしばらくは忙しいが、今度は僕が忙しくなる番だな。

まだ来春の話だけど。

準備は進めないといけない。



あー!

院長って…

もう、ずっと勤務医で良かったよー!



なんて、叫べない。

生駒医院では、最高のスタッフを揃えてくれているらしい。

しかも来春、院長就任と同時にその隣に認可保育園まで作るという。

もちろん桃ちゃんも今の職場を辞めてそこに行く。

妹の撫子さんも保育士、幼稚園教諭、小学校教諭の免許を持ち、そこに来るらしい。

保育園と病院の理事を桃ちゃんのお父さんがする。

その一方で病院の経営は僕に丸投げ。

病児保育も…

どうするんだよー!



…透にも入って貰いたい。
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