可愛い弟の為に
後は他愛のない話をしながら昼食を取る。

来月最初の日曜日は透の結婚式で、準備が本当に大変だとか。

秋には実家が二世帯住宅になり、とうとう親の監視の元になるとか。

透はポツリと話をした。

大変だけど、それを楽しんでいる節がある。

まあ、春先の苦しそうな姿よりは迷いがなくなってうんと穏やかな日々を送っているようで良かった。



休憩が終わり、僕は席から立ち上がると

「…兄さん」

透も一緒に立ち上がった。

「もし、この秋くらいまでに小児科の常勤か夕診が決まらないようだったら僕にもう一度、伝えて。
ひょっとしたら役に立てるかも」

透ー!

「ありがとう」

思わず、手を差し出した。

透も苦笑いしながら僕の手を握り、握手をした。

「ただ、あまり期待しすぎると後悔するかもしれないからね。
それだけは頭に入れといてね」

いやいや、その言葉だけで僕はいいかもー!

頑張って、今は休診中の小児科夕診が出来る医師を探す!

というかフルタイム常勤医師を探す!

ちょっとは頑張ろうっていう気になった。



ありがとう、透。
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