可愛い弟の為に
4.夫婦生活
そして医師と大学生の結婚という名の共同生活が始まった。
桃ちゃんは毎日お弁当を作ってくれる。
僕の帰りを待って、一緒にご飯を食べる。
洗濯掃除も完璧。
けれど。
一度もきちんと手を握ったこともない。
一応寝室は同じだけれど。
僕はソファーで寝ていたり、桃ちゃんがソファーで寝ていたり。
これじゃただの同居人じゃないかと思う、結婚生活1か月目。
季節は夏から秋へ変わろうとしていた。
「兄さん、突然ごめん」
何と、透が何の前触れもなく、僕達の家にやって来た。
夏休みにバイクと車の免許を取ったらしく、バイトで貯めたお金でバイクを買って乗って帰ってきた。
そういえば、去年一緒にサーキットに行ったとき、やたらとバイクの免許を取りたいと言っていたな。
「父さんと母さんには?」
「会わないよ」
「お前、泊まるところは?」
「兄さんところ」
と言って透は笑った。
今日は土曜日で病院も午前中で終わり、明日も休みなので家にいてちょうど良かった。
「ただいま~」
そこへ大学から帰ってきた桃ちゃん。
「お邪魔しています、桃子さん」
透は椅子から立ち上がり、桃ちゃんに頭を下げる。
「あ、どうもこんにちは」
桃ちゃんは透の姿に驚く。
こちらに帰って来るとは思ってもみなかった。
「あ、でも兄さん、お邪魔だったら僕、もう帰るよ」
桃ちゃんはあわてて首を振って
「透さん、今日は泊まってくださいね!明日、帰ればいいでしょ?」
おお、必死に引き留めている。
「…一応そのつもりで来ました。ごめんなさい」
透はそう言って頭を下げる。
…何か、向こうであったな。
桃ちゃんは毎日お弁当を作ってくれる。
僕の帰りを待って、一緒にご飯を食べる。
洗濯掃除も完璧。
けれど。
一度もきちんと手を握ったこともない。
一応寝室は同じだけれど。
僕はソファーで寝ていたり、桃ちゃんがソファーで寝ていたり。
これじゃただの同居人じゃないかと思う、結婚生活1か月目。
季節は夏から秋へ変わろうとしていた。
「兄さん、突然ごめん」
何と、透が何の前触れもなく、僕達の家にやって来た。
夏休みにバイクと車の免許を取ったらしく、バイトで貯めたお金でバイクを買って乗って帰ってきた。
そういえば、去年一緒にサーキットに行ったとき、やたらとバイクの免許を取りたいと言っていたな。
「父さんと母さんには?」
「会わないよ」
「お前、泊まるところは?」
「兄さんところ」
と言って透は笑った。
今日は土曜日で病院も午前中で終わり、明日も休みなので家にいてちょうど良かった。
「ただいま~」
そこへ大学から帰ってきた桃ちゃん。
「お邪魔しています、桃子さん」
透は椅子から立ち上がり、桃ちゃんに頭を下げる。
「あ、どうもこんにちは」
桃ちゃんは透の姿に驚く。
こちらに帰って来るとは思ってもみなかった。
「あ、でも兄さん、お邪魔だったら僕、もう帰るよ」
桃ちゃんはあわてて首を振って
「透さん、今日は泊まってくださいね!明日、帰ればいいでしょ?」
おお、必死に引き留めている。
「…一応そのつもりで来ました。ごめんなさい」
透はそう言って頭を下げる。
…何か、向こうであったな。