可愛い弟の為に
6.弟の恋、再び
今日はなんでこんなに酔っ払いが多いのか。

3月下旬。
異常なほど、酔っ払いの処置が多かった。
ここまで飲むなよ、と思いつつ。

今日は僕と透が夜間の救急外来に入っていた。

また救急車の音が聞こえる。

透が受け入れたんだな。

そう思いながら僕は酔っ払いの治療を続けた。



『起きろ、ハル!』

しばらくして救急外来1診から聞こえた透の声に、診察中の僕はビクッ、とした。

あの透がこんな所で声を上げるなんて。

コードイエローか?



そのうち透から入院手続き後の診察依頼と検査データが回ってきた。

うん、即、入院の手続きでOKな結果。
透が直接僕を担当に指名してくるとは珍しい。



と思ったら。

カルテには…まさかの

『淡路 ハル』

の名前が。



手が震える。
僕が震えても仕方がない。
けれど…。

魂が震えているのかもしれない。

運命の歯車がカチン、と合わさる音が聞こえた気がする。
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