可愛い弟の為に
7.策略
その週末。
僕は透とハルちゃんを食事に誘った。

僕も桃ちゃんも仕事なので別々に現地集合だ。

「ああー!楽しみっ!!」

朝から桃ちゃんは嬉しそうに服を選んで着ていた。

でも…その姿は…

「桃ちゃん、何乗って行くの?」

完璧にスポーツバイクに乗る姿ですよ。

「早く着きたいからR1」

…街中をあれで飛ばせると思ってるのか?
普通に考えたら小回りの利くバイクが良いに決まっている。
時々、桃ちゃんの発想はかなりずれていると思う。



まあ、いいや。
桃ちゃんには出来るだけテンションを上げておいて貰わないと。
僕の我儘に付き合ってもらわないといけないし。



「じゃあ、至さん、また夜に!!」

桃ちゃんは僕に抱きつき、頬にキスをして出ていく。
今日は早番なので僕より先に家を出る。

「いってらっしゃ~い」

手を振ると桃ちゃんも嬉しそうに手を振る。



そういうところ、僕は大好きだよ、桃ちゃん。
君の明るさにどれだけ助けられているか。
だから普段、多少の我儘は聞いてしまう。



さて、透の件でこれから忙しくなるな。
透の勘と僕の勘が当たっていればこれからの1か月で一気に環境が変わる。
自分たちが有利に動くために、根回しが必要だ。

僕は大きく背伸びをして準備を始めた。
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