可愛い弟の為に
その後、ハルちゃんの職場で変態ストーカーチックな上司がハルちゃんを追いかけ回しているみたいなので桃ちゃんを派遣したり、ハルちゃんが家にやって来たり。

透の力が及ばない所で僕達夫婦が微力ながら協力していた。



そんな中。

「至先生、ちょっと…」

医局に江坂先生がやって来た。

「はい」

江坂先生がわざわざやって来た、という事は透の事が。

「透先生から何か聞いていませんか?」

「まあ、憶測の話では色々と聞いておりますが…」

江坂先生は一呼吸置いて

「多分、透先生の彼女、妊娠していると思いますよ」

「…やっぱり」

恐れていた事が。

「ただ、超初期段階なので、微妙な部分でもあります。
透先生には連休明けにでもこちらで受診するようにはお伝えしましたが」

「ありがとうございます」

僕は頭を下げた。





そんなやり取りをしつつ、多忙な日々を過ごした4月が終わり、5月。

病院内をも揺るがす、事件が起こった。



最初の一報は父さんの秘書からだった。
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