可愛い弟の為に
当直明けで向かった先は父さんの4人いる兄弟のうち四男の弟、慶叔父さんの家。
某私立大学教授。
専攻は電気電子工学。
長男の久紀は結婚して独立しているが、長女の希恵、次女の恵実がまだ結婚せずに実家暮らし。
つい最近までこの姉妹のうち、どちらかと透を結婚させようとしていたが、透は無視していた。
仕事を楯にして逃げまくっていたのは僕も知っている。
僕が訪問すると呼んでいないのに二人が父親の隣に座った。
「至、どうした?」
慶叔父さんの口調はまだ穏やかな方だ。
「透が結婚する事になりました」
慶叔父さんの顔色はそれほど変わらなかったが、希恵や恵実の顔色は変わった。
希恵は本気だったみたいで今にも泣き出しそうだ。
「ようやく、か」
「はい」
「透の嫁になるくらいだから、それなりの人なんだろうな」
『それなり』って何?
出身校?家柄?
「透が選んだ人だから、人間的に素晴らしい人です」
希恵や恵実よりはうんと上。
甘やかされて育ってきた人ではない。
「透の目が腐っていたら、どうしようもないけど」
慶叔父さん、透の目を最近、見た事があります?
ほらきた!
毒抜き開始じゃ。
「透は腐ってなんかいませんよ。
腐っていたのはウチの両親です。
一旦、二人を別れさせたのは母ですし」
「何、昔、付き合っていたのか?」
慶叔父さんは驚きの声を上げた。
「ええ、高校の時に。
長い年月が経った今、再び出会い、出会って1ヶ月ちょっとで結婚までたどり着きました。
誰にも止める事が出来ません」
希恵は手で顔を覆った。
…この子には絶対に透の相手は無理だな。
こんなところで泣くな!
しかも透とは会ってないだろ、僕の結婚式以来。
今の透を知っている訳じゃない。
希恵が知っている透は18歳の透。
希恵自身も12歳の時の記憶で透は止まっているはず。
周りが勝手に話を進めようとして勝手に崩壊した話だ。
30を越えてそれを鵜呑みにしてはいけない。
恵実が希恵を抱きしめた。
慶叔父さんもさすがに気にし始める。
「まあ、慶叔父さん。
そのうち透の事で親戚が集まるでしょう。
その時はほどほどにお願い致します。
万が一、非常識な振る舞いがあれば…わかってますよね?
僕が黙っていませんから」
慶叔父さんにはこれくらいで良いか。
某私立大学教授。
専攻は電気電子工学。
長男の久紀は結婚して独立しているが、長女の希恵、次女の恵実がまだ結婚せずに実家暮らし。
つい最近までこの姉妹のうち、どちらかと透を結婚させようとしていたが、透は無視していた。
仕事を楯にして逃げまくっていたのは僕も知っている。
僕が訪問すると呼んでいないのに二人が父親の隣に座った。
「至、どうした?」
慶叔父さんの口調はまだ穏やかな方だ。
「透が結婚する事になりました」
慶叔父さんの顔色はそれほど変わらなかったが、希恵や恵実の顔色は変わった。
希恵は本気だったみたいで今にも泣き出しそうだ。
「ようやく、か」
「はい」
「透の嫁になるくらいだから、それなりの人なんだろうな」
『それなり』って何?
出身校?家柄?
「透が選んだ人だから、人間的に素晴らしい人です」
希恵や恵実よりはうんと上。
甘やかされて育ってきた人ではない。
「透の目が腐っていたら、どうしようもないけど」
慶叔父さん、透の目を最近、見た事があります?
ほらきた!
毒抜き開始じゃ。
「透は腐ってなんかいませんよ。
腐っていたのはウチの両親です。
一旦、二人を別れさせたのは母ですし」
「何、昔、付き合っていたのか?」
慶叔父さんは驚きの声を上げた。
「ええ、高校の時に。
長い年月が経った今、再び出会い、出会って1ヶ月ちょっとで結婚までたどり着きました。
誰にも止める事が出来ません」
希恵は手で顔を覆った。
…この子には絶対に透の相手は無理だな。
こんなところで泣くな!
しかも透とは会ってないだろ、僕の結婚式以来。
今の透を知っている訳じゃない。
希恵が知っている透は18歳の透。
希恵自身も12歳の時の記憶で透は止まっているはず。
周りが勝手に話を進めようとして勝手に崩壊した話だ。
30を越えてそれを鵜呑みにしてはいけない。
恵実が希恵を抱きしめた。
慶叔父さんもさすがに気にし始める。
「まあ、慶叔父さん。
そのうち透の事で親戚が集まるでしょう。
その時はほどほどにお願い致します。
万が一、非常識な振る舞いがあれば…わかってますよね?
僕が黙っていませんから」
慶叔父さんにはこれくらいで良いか。