可愛い弟の為に
当直明けのGW1日目、あんな姉妹を相手にするのは本当に疲れた。

重くて疲れる。
考えもガチガチ。
もっと柔軟性を持てよ。



さて、今日の方がもっと疲れるぞ。
折角の休みが根回しでパーになるとは…
あと2軒、一気に回るからなあ。
透には大きな貸しだな、コレは。



「おはようございます。
朝早くに申し訳ございません」

午前に訪問した先は父さんのすぐ上の兄、宏伯父さん。

某民間企業の会長をしている。

「珍しい、わざわざ訪ねてくるとは」



出来る事なら訪ねたくないです。
これも透の為。
透と生涯共にすると言ってくれた奇特な存在、ハルちゃんの為。



「ええ、また改めて父からお話があると思いますが、透が近々結婚します」

宏伯父さんは目を細めた。

「へえ…あの透が。
どういう風の吹き回しかな」



ニヤニヤしておる。
ムカつく。
慶叔父さんはまだ大丈夫だけど、この宏伯父さんと更にその兄の武伯父さんは本当に手強い。
というか屁理屈だらけ。
こんな人間に育てられたら性格歪むな。
現にここの息子3人はとんだドラ息子だ。



「透もようやくそういう人に出会ったということです」

「ほう。では楽しみだな、今度」



今度、そうですね。
貴方が透とハルちゃんを傷つけないように僕が四六時中見張りますけどね。

…この伯父だけは許せない。
以前、僕と桃ちゃんの間に子供が出来ないことを散々桃ちゃんのせいだと言い張った。
病院での結果を見せて100%僕に原因があると伝えても、だ。
あの時に僕がブチ切れてから、イトコ達は僕が怖いらしい。
まあ、あんな連中にはそう思われていてちょうど良いだろう。



「まあ、お手柔らかに宜しくお願いします、伯父さん」

ニヤニヤしている顔をこれ以上見たくない。
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