東の国 妖合戦
天下分け目
岐阜県不破郡関ケ原町。

古代日本の壬申の乱や近世の関ヶ原の戦いの古戦場として有名な地。

悪五郎率いる西の国の妖怪達は、この戦場に到達していた。

「このまま一気に山ン本の喉元へと迫る」

更に進軍する悪五郎達を。

「待てえぇえぇえぇえぇえいっ!」

野太い声が制する。

人をかどわかし、迷わせ、恐れ、畏怖させる妖怪達をも震え上がらせるような声。

見れば。

「それ以上に東の国には一歩たりとも、蟻一匹をも通しはせんぞ、西の」

西の国の軍勢にも負けず劣らずの大軍を率いた、長上下(ながかみしも)に似た着物姿の老人が立っていた。

妖怪の眷属達を引き連れる頭領であり、魔王に属するもの。

山ン本 五郎左衛門。

「東の」

悪五郎はギリッと歯噛みする。

「ここで会ったが百年目…長きにわたる因縁、今日こそ決着をつけようぞ、山ン本!」

< 8 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop