不条理カウントダウン
彼は、やっぱり体がだるい、と早めにベッドに入った。
おやすみなさいと言い合って、夜間だけ使うマスクタイプの人工呼吸器を彼に付けてあげて、ぼくは部屋の電気を消した。
ぼくも横になった。
一時間おきにアラームをセットして起きて彼の様子を見るのが、夜勤の仕事だった。
異変は、最初のアラームのときには、すでに起こった後だった。
ふしゅー、ふしゅー、と酸素を送る人工呼吸器の音が、あまりにも規則正しすぎた。
その理由に思い当たった瞬間、ぼくは眠気も疲れも忘れて、彼の体を揺さぶった。
彼は、もう息をしていなかった。