不条理カウントダウン
そうだな、と、ぼくはうなずいて、麗の肩を揺さぶった。
うっすらと目を開いた麗に、ベッドで寝るように告げる。
麗は、寝ぼけた猫みたいに這って行って、ベッドによじ登った。
布団にくるまって、右手の親指をくわえて、丸くなる。
麗が不眠気味なのは知っている。
朝綺に出会うまでは逆で、毎日寝てばかりだった。
麗は自分で自分のバランスを取れない。
力になってあげたいのに、ぼくには、その方法がわからない。
「頑張りすぎなんだよ、麗は。根詰めて勉強しすぎてる。
受験まで、まだ時間があるんだから、そこまでやり込まなくていいのに」