不条理カウントダウン
「わかりました。新選組ですね。練習して行きます」
「よろしくお願いしますね。それと……人工呼吸器、やっぱり、付けないことにしましたので。
木曜日は、まだ、大丈夫だと思いますけれども」
気丈な声が、最後には震えていた。
ぼくは目を閉じる。
近藤勇【こんどう・いさみ】が敵方へ出頭した日の土方歳三【ひじかた・としぞう】を思った。
藤原さんが涙を流していたシーンだ。
新選組局長である近藤が敵方の前に姿を現せば、捕らえられて処刑されるのは目に見えていた。
新選組隊士たちとともに残された副長の土方は、敬愛する近藤を、どんな気持ちで見送ったんだろう?