君が消えた日。
君が消えた日。
私は人間が怖い。

いつからかは分からない。
だけど、物心つくころには、私には「人間」という生き物は、他人を陥れ、同情するふりして、笑う。そんな悪魔のような姿に見えていた。

先生も、クラスメイトも、母も、父も、街行く人も、自分自身も・・・


誰もかれもが・・・怖い。




「・・・さん!桐島さんってば!」

その声にぼんやりしていた私の意識は引き戻された。

「・・・なに?」

「一緒に帰ろう!」

そう言ってにこっと笑ったのは志田 藍華(シダ アイカ)。

無愛想かつ暗いため、クラスで浮いている私に話しかけてくる唯一の人間だ。


「・・・」

「ねえねえ!この間のテスト、どうだった?!」

返事せずに席を立った私の横に藍華が並ぶ。

藍華も私に負けず劣らず、変わった人間だと思う。
休み時間も授業中もぼんやりと窓の外を見ていて、下校の時間になると私に話しかけてくるような人だ。

私に話しかけるなんて何を考えてるのか知らないが、愛想よく接するほど私もできた人間じゃない。話しかけられても、だいたいは無視だ。
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