君が消えた日。
教室への廊下を歩いていると、たくさんの視線が刺さっている気がした。
いつもはチラリと見る事さえされず、空気のように扱われているのに、どうしてだろうか・・・

「ひっ?!」

私より先に教室に入った藍華が小さく悲鳴をあげた。

何事かと思い教室を覗くと、私も思わず目を見開いた。

『桐島奏楽は、殺人犯』

と大きく黒板に殴り書きしてある。

「マジで?」「いやいや、流石にないでしょ」「でも暗いし何考えてるか分からないし…」「意外とあり得るかも…」

クラス全員の視線が私にあることを、肌で痛い程に感じた。

殺人犯・・・?私が・・・?


「奏楽!こんなの気にしちゃ駄目!!」

そう言うと、藍華は黒板消しで一気にその文字を消した。
そして「行こ」と私の手をひいて教室を出た。

藍華に手をひかれて廊下を歩きながら私はぼんやりと考えていた。


私は・・・殺人犯・・・?
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