君が消えた日。
捜査
「あ~もう腹立つ!奏楽!!犯人探そう?!そいつに復讐しようよ!!」

「いや、いいよ…復讐なんてそんな大袈裟な・・・」

私達は今、第二音楽室に居る。
ここは授業でもほとんど使われず、人が立ち入る事はほぼ無いという場所だ。

「なんで?!ムカつくじゃん!!そいつに何か仕返ししてやろーよ!!」

「私も賛成~」

綺麗な声がして思わず振り返った。

「あ・・・水野さん?」

「ふふっごめんね?ここ、私のサボり場なの。全部聞いちゃってた。」

声の主は水野 葵(ミズノ アオイ)。
同じクラスで、かなりのサボり魔。
でも勉強と運動が恐ろしく出来、美人なため、周りから一目置かれている・・・らしい。

「桐島さん、教室に“殺人犯”って書かれてたよね?あれマジ?」

「えっと・・・」

「マジな訳無いでしょ?!奏楽がそんなことするわけ無いじゃん!!」

「ふふふっごめんごめん。ねえ、私も協力させて?犯人探し。」

「・・・どうする?奏楽。」

「あの・・・犯人探してくれるのは凄く嬉しいけど・・・ただのイタズラだと思うし・・・」

「ただのイタズラで殺人犯なんて、書くかしら?」

すぅっと真顔になった葵に、私はゾクリとした。

「“殺人犯”なんて単語、普通のイタズラ心で書くかしら?」

「でも・・・」

「私には分かるの。」

私はそれ以上何も言えなかった。
葵にはきっと、昔何かあったんだろう。
葵の言葉には、何かとても深いものを感じた。


「・・・分かった。やろう。」


こうして私達の犯人探しが始まった。
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