foreverlove ~君がくれた恋~
車から降りて連れてこられたのが
ちょー高そうなホテル?いや、フランス料理店?!
「ここで…?」
「はい。中で歩様がお待ちですので。ごゆっくり。」
そういうと、ニコッと笑ってどこかに行ってしまう。
なんて無責任なんだ。ここの執事は。
「えっと…。ここから…。」
「あ、姫乃!」
「あー!歩!」
「やっと来た。お前はほんと遅いな。」
「なによ!あんたが勝手に置いてくからでしょ!ほんとにねぇ!」
「まぁ、いいじゃん。それより聞いた?」
「聞いたも何もだよ!ほんとどーにかして!」
「第2の婚約者候補。」
ドキッとする言葉。
「第2って…。」
「そう。なんで美香がいるのに第2にしたのか。」
いちいちかんにさわる。
「そうよ。どうするのよ!わたしは好きな人と結婚するからね?!人権の損害よこれこそ。」
「お前は馬鹿か。もういいから。はやくいこ。」
そういい、わたしの手を握り
大きなドアを開けて
皆が揃ってるテーブルに案内してくれた。
「ほう。君が姫乃さんか。」
堅苦しそうなお父さん。
ずっとニコニコしてるお母さん。
この家はだいぶ堅苦しいな。
お兄さんなんて笑いもしなければ
こっちを見ようともしない。
そっけない、愛想のない人だ!
美香さんはニコッと笑ってくれるが
胸はモヤモヤ。
「あ、はい。」
「可愛らしい子だね。」
「いえ。」
それだけ言うとまた話し始める。
「君たちをここに呼んだのは、間違いなく後継者を決めるためだ。」
「後継者…。」
「普通なら兄の翔が継ぐはずだが…。」
困った顔をするお父さん。
さっきまで黙ってた翔さんが話す。
「俺は、継ぐつもりもない。」
「だと思った。歩は?」
「どうせ、政略結婚なんだろ?お断りだ。」
「お前は…。だからここにいるだろう。お前の婚約者候補が。」
婚約者候補…。へー。いたんだ。
婚約者候補…。こんやくしゃ…こう…ほ。
「え?!まさかわたしもですか?!」
大きい声をあげてしまい、つくづく恥じらしだ。
「君は元気があっていいな。」
「あ、すみませんでした。」
「まぁ、そういうことだな。婚約者候補2名。
お前が好きな方を選ぶといい。」
なんだよ。好きな方って。わたしは惨めになるために来たんじゃない。
バカにしてんのか。このくそおやじ!
「俺は…。」
ほら見ろー!困ってる。
「わたしは!翔さんが好き。」
美香さんがいきなり話を割って入る。
「美香…。」
翔さんもきっと美香さんが好きなのだろう。
「ならば、歩は姫乃さんでいいかね?」