foreverlove ~君がくれた恋~



そうこうしているうちにお昼になった頃。

ドタバタと階段を駆け上がってくる音。

ふとドアを見ると勢いよくドアが開き

そこには一人の女性が立っていて

わたしには目もくれず歩に飛びつく。

美香さんが来た時とは違う。

歩の顔が今まで見たことのない顔。

胸がチクリと痛かった。

「歩っ!久しぶりじゃん!」

「楓。元気そうでよかった。」

「っと、こちらの可愛い子は?」

わたしにむけて言っているのだろう。

「あぁ、姫乃。俺の…。」

気まずそう。言いたくないの…かな。

「ん?」

「あ、友達です。歩の友達。」

「あぁ、そうなのね!」

ぱあっと明るくなる顔。

ほんとに可愛らしい顔をしている。

アメリカと日本のハーフだと歩から

さっき聞いたが、ここまでだとは。

なにがわたしに似てるんだか。

1ミリたりとも似てないじゃないか。

「歩!わたしちょっと歩のお父さんに挨拶してくるから!ちょっと待ってて。」

嵐が通りすぎるとはこの事だろう。







「おい。」

なに怒ってんの?!意味不明なんだけど。

「なに?」

「なんで友達なんて言うんだよ。」

かと思えば次は悲しそうな顔。

「だって歩が戸惑ってたから。友達じゃない?間違ったことは言ってないから大丈夫。」

「まぁ…。でも婚約者だぞ。」

「それはただの候補者じゃない。」

「でも、婚約者だ。父さんが決めたことは絶対だから。」

「ふっ。なにそのルール。うけんだけど笑」

「うけるなよ。真面目に考えとけ。」

それだけ言うとどこかに行く歩。

「どこ行くの?」

「あぁ、今からお茶。」

「そうなんだ。いってら。」

そうお見送りしていいタイミングに

楓さんが戻ってきた。
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