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私に声を掛けてきたのは、さっき帰って来たばかりの男の人。その人は私の隣にゆっくりと近付くとソファーに促すため私の肩をとんとんとやさしく触れてきた。
えっ?
「あ、棗ちゃん紹介するね、こいつ俺の親友の尚人、宝生尚人(ほうしょう なおと)。で尚人、こっちが結の親友の棗ちゃん」
私が宝生さんの手にびっくりしている間に、凌介さんが互いの自己紹介を始める。なんだか近すぎるこの距離に私はどうしていいのかよく分からない。よく分からないけど、宝生さんは私を真っ直ぐに見下ろしながら「よろしく」と声を掛けてくれた。
だけど私はなんだかその視線が物凄く恥ずかしくて、結局こくんと頷く事しか出来なかった。