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「棗ちゃん、ちゃんと食べてる?」
私の隣に座る宝生さんがそれとなく声を掛ける。三人でさっきまで盛り上がっていたのに。
「はい、ちゃんと食べてますよ」
「そ、ならよかった」
にっこり、笑顔を覗かせる宝生さん。でもすぐに目線は目の前に座る二人に注がれる。
気に掛けてくれたのかな?それでも、みんな優しい。
多分三人はそれなりに面識もあって、とっても仲がいい。気も合う人達なんだと思う。
「でもさ、なんか他人行儀だね。その敬語。結なんて敬語なんて使ったことないのに」
「え?」
ちょっと気が緩んだそばからそんな声が隣から聞こえてきた。それに反応を示したのは結だった。
「ちょ、ちゃんと尚ちゃんそれ聞き捨てならないな。私だって敬語位は使えるよ」
「は?でも俺らの前では使わないじゃん。一応俺、結より年上なんだけど」
そんなやり取りを見てて思う。本当に仲いいんだな。結と宝生さん。そんな二人を凌介さんは優しい眼差しでみつめてる。
うん、でもそうだよね。凌介さんの友達の宝生さんと結が仲いいのはやっぱり彼の友達にも嫌われたくないからだよね。
温かな鍋を囲み、がやがやと盛り上がる三人。私はまだそこに参加は出来ないけど、でも隣に座る宝生さんも、目の前に並んで座っている結も凌介さんも本当に優しい。
でもその優しさがちょっと胸に痛かった。