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男の顔をして言われた一言に、私は何も言えず彼の顔を見続けてしまった。坦々と何でもこなしていた人から、こんな表情もするんだ。とみとれてしまった。だから、この場から動けなくなってしまった。


「あのさ棗ちゃん、男と付き合ったことあるよね?!だったらその格好って無防備だと思わない?そう言う格好って深い関係にならないとありえないよね?」


「………」


宝生さんに言わんとしている事は理解した。だけど何となくこの場所から動けない。


だって、宝生さんが下を向いてしまったから。その頬は微かに赤く染まっていたから。


「おはよ棗。ってあれ?」


暫く黙ったまま動かなかった空気。ガチャリとドアが開く音がしたと思えば結が顔を出した。


「尚ちゃんもおはよ。って、もしかしてふたりとも、何かあった?」





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