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結の一言で私達は動き出した。が、宝生さんはいつの間にかいつもの態度に戻ってる。一瞬頬を染め俯いた宝生さんって、もしかして幻?
「あ、結おはよ。わ、私、着替えてくる」
慌てて部屋に入り込む私は結から見たらもしかして不自然かな?でも、今の私にはこれがやっと。
結の問いに答える事も出来なかったし、やっぱり私には逃げるしか選択肢はなかったんだ。
「っーか尚、今棗ちゃん口説いてたろ?」
私が部屋で着替えをしている間に凌介さんもリビングに現れた。
「え?そうなの尚ちゃん!?」
凌介さんの一言にびっくりする結。宝生さんは罰悪そうにふっと後ろ頭を掻いた。
「朝から、そんな事する訳ないだろ!」
宝生さんは小さい声でぼそりと呟く。そんな宝生さんの揚げ足を取るように凌介さんも呟いた。
「っーか、顔赤くして言われても説得力ねーよ」
そんな会話が私がいない間にされていたなんて知らない私は、とにかく明日からは朝起きたら直ぐに着替えようと心に誓った。