ルームシェア



結の一言で私達は動き出した。が、宝生さんはいつの間にかいつもの態度に戻ってる。一瞬頬を染め俯いた宝生さんって、もしかして幻?


「あ、結おはよ。わ、私、着替えてくる」


慌てて部屋に入り込む私は結から見たらもしかして不自然かな?でも、今の私にはこれがやっと。


結の問いに答える事も出来なかったし、やっぱり私には逃げるしか選択肢はなかったんだ。



「っーか尚、今棗ちゃん口説いてたろ?」


私が部屋で着替えをしている間に凌介さんもリビングに現れた。


「え?そうなの尚ちゃん!?」


凌介さんの一言にびっくりする結。宝生さんは罰悪そうにふっと後ろ頭を掻いた。


「朝から、そんな事する訳ないだろ!」


宝生さんは小さい声でぼそりと呟く。そんな宝生さんの揚げ足を取るように凌介さんも呟いた。


「っーか、顔赤くして言われても説得力ねーよ」


そんな会話が私がいない間にされていたなんて知らない私は、とにかく明日からは朝起きたら直ぐに着替えようと心に誓った。





< 19 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop