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「朝から、ごめんね」
何となく迷惑をかけてしまったのかと思い、謝ってみた。私の不注意だもん。もしかしたら宝生さん気分悪くしたのかもしれないし。
それに、やっぱり他人と暮らすにはそれなりのルールってあって当たり前だし、私が考えなさ過ぎた。
「うんん、謝らないでよ。でもさ、尚ちゃん棗の事、気に入ってるんだと思う」
「?」
「だった、尚ちゃん、あんまり自分から女の子に声掛けないし、それに少しだけ、顔赤かったし…」
「……」
言っている意味が今一よく分からないけど、そう言って隣を歩く結はにっこり微笑んだ。
それより、なんでそんなに結は宝生さんの事詳しいのかな?
そんな疑問が頭の中に浮かんで来るけど、だけどやっぱり、口に出来ないまま私達は改札をくぐり抜けた。