ルームシェア
だけど、そんな結が本気を出したら本当にあっと言う間だった。
「お母さんも「棗と一緒ならいい」って言ってくれたし、だから一緒に住もうよ」
「……」
会うたびに言われるこの台詞。だけど私はなかなか靡かなかった。
今住んで居る所が気に入ってるって言うのもあったけど、やっぱり私だっていくら親友とは言え一緒に住むのは躊躇っていた。一緒に住んだら親友とはいえ楽しいだけじゃあすまない。それに一人暮らしの気楽さを手放したくはなかったから。
だけど結の台詞に折れてしまったのは、多分私の心はかなり弱っていたからなんだ。
その頃、私は付き合っていた彼と別れたばかりで、だいぶ生活がづさんでいた。一人の部屋に帰って来るとなんとなく虚しくて悲しくて、毎日泣いてばかりだった。
もしかしたら、そんな生活から抜け出せるかもしれない。
そう思った瞬間、彼女の台詞に頷いてしまっていた。