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「ごめん棗ちゃん、急なんだけど飯でもいかない?」


いきなり腕を掴んだと思ったら、急にとんでもない事を口にする宝生さん。ドアを隔てた向こう側はもう我が家なのに。


どうしてそんな事を言うのだろう?


彼の行動が何を意味する事か分からない私は、彼を見つめながらゆっくりと首を傾げた。


「あ、うん、だからね……」


「………」


何か言いたげに口を開くけど、なかなか確信に触れない宝生さん。私はそんな彼に痺れを切らし、手の中にある鍵を鍵穴に差し込んだ。


「だ、だめ!!今は開けない方がいい!!!」


そう言いながら、再び私の腕を掴む宝生さんはちょっと尋常じゃあない。だって自分の家なんだし、入っちゃあいけない理由が分からない。


結局、宝生さんにより阻止された私はじーっと宝生さんを睨み付ける。すると彼は渋々といった感じで話し始めた。


「今はまだ、入らない方がいいと思う」


「………」


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