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えっ?
さっきまで真面目な顔をしていたとおもったら、今度は意地悪そうな笑顔がそっと近づいてくる。
「なんか誘惑してるでしょう。俺のこと」
「そんな事……」
ないと思う。それよりも、距離がいつもより近い。なんでこんな事になってるの?
少し怯えた表情で固まってると「嘘、だよ」とニッコリ笑った。そして彼はゆっくりと離れてく。それにほっと息を吐くと同時に彼の声が聞こえてきた。
「だって結と同い年だろ。妹にしかおもえないよっ」
何となくトーンダウンした声。少しだけ曇る表情。それは切なそうに見えた。
そういえば、どういう関係なんだろ?結と宝生さんって。
何となく聞いてみたい気もするけど、聞きたくない様な気もする。
そうこうしている内に私達はアパートに辿り着いた。
だから結局、結と宝生さんの関係を聞けないまま私達はそれぞれの部屋にもどった。