ルームシェア
妙に冴えた頭でリビングのドアを開けると、もうすでにリビングには先客がいて驚いた。今日はいつもよりもかなり早いから。
「おはよ、棗」
「お、おはよ」
まだ少し眠そうな結に声を掛けられて、私も慌てて挨拶を返した。テーブルの上にノートPCをひろげている結。もしかしてこんな朝早くから仕事?!
「ねぇ、コーヒーでも飲む?」
「うん、飲む、ありがと」
欠伸を噛み殺し眠そうな結を見ていたら、自然とそう聞いていた。私も頭をスッキリさせたかったから、丁度いいかも。
コーヒーメーカーに粉をセットし、水を注ぎ入れスイッチを入れる。コーヒーが落ちるまでの間、結の前の席に腰掛けた。
「仕事?」
「うん、残業断っちゃったから、それで」
「ふーん」
私と会話しながらも結の手はキーボードの上を器用に行き来している。それを見てたら、やっぱり気になり出してしまった。宝生さんの事。今、聞いてみようか?でもその前に結から話し掛けられてしまった。
「そう言えば、昨日遅かった?」
「え?うーん、ちょっとだけ?」