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結局その後も何も聞けないまま、いつもの時間になり慌てて家を出る。


そして、寝不足が祟ったのか今更ながらに睡魔が襲ってくる。それは昼食を食べた後だから余計なのかもしれない。


「あらかさまだね。棗くん。昼飯後だからって…」


部長の嫌味を聞きながら、欠伸を噛み殺す。ぼんやりとした頭では、仕事も疎かになりがちで、私は結局ミスばかりで部長のお小言を一身で受けていた。


◇◇◇



「そういえば、さっき楢崎くん来てたよ」


気分を変えたくて休憩室へ向かうとそこには先客がいた。同期の橋本まさみがいた。


「えっ?」


自販機にコインを入れボタンを押す。紅茶を手にして私は橋本まさみの目の前に腰を下ろした。


「まだ後処理が残ってるとかで……」


「…そうなんだ」


まさみの話しを聞きながら紅茶を一口口に含む。退社した彼がわざわざそんな事の為に社に来るなんてちょっと違う気がするけど……。


まさみの意味ありげに私を見つめ、 再び話し始めた。

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