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「棗の所にも行ったみたいだけど、部長と話してた声掛けられなかったみたい……」


あっ、あんな場面見られてたんだ。まさかあんな所を見られてたなんて、つくづく今日は付いてないな。


はぁー、とため息を吐きながらさっきの場面を思い出す。彼には本当に情けない場面しか見られてない。そう思うと余計に悲しくなる。


目線を下にさげまさみに気付かれない様にもうひとつ小さくため息を溢す。するとすっと目の前に何かが現れた。まさみが紙袋を私の目の前にかがげたのだ。


「何? それ」


「ん、楢崎くんからの預かり物」


「楢崎くんから?」


そう言えば、昨日会った時忘れ物がどうとか言ってた。だけど忘れ物なんて私した覚えはない。


私は渋々彼女の手から紙袋を受け取る。その袋はかなり中身は軽かった。


忘れ物って、なんだろ?



「楢崎くんとは、その後どうなの??」


まさみは何かを探るように、少し声を潜めてそう聞いてきた。



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