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深い意味はないのかもしれない。
ほっと息を撫で下ろすと、まっすぐ私を見てる凌介さんと目が合った。
「棗ちゃんの恋人でしょう 」
「ち、違います」
あわてて否定した。恋人ではない。恋人だった人だ。
「だって、彼はまだ、棗ちゃんのこと好きみたいな感じだったし……」
「それは、そうかもしれませんけど……」
「反対されたから!?だから、諦めちゃうの??」
え?もしかして凌介さんは何か知ってるの?だけどどうしてそんな事。
私は凌介さんをまじまじと見つめた。もしかしたら何か感じ取れるかと思って。
けど、彼の表情から何かを読み取ることは出来ない。いつもみたいに飄々としているから。
それから暫く、私も凌介さんも言葉は交わさなかった。
言葉を口にしたら、全てをさらけ出してしまいそうだったから。