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「あんまりこういうの好きじゃあないけど、付き合いだからさ、でも俺、ああいう席だと酒呑んでも酔えないし、周りは酔っ払いばっかになるのに……割りに合わないよな」


はい、とがさごそとビニール袋の中から缶ビールを取り出し、私に突き出す。なんとなく勢いで缶を受け取ってしまったが、本当にいいのかな?


そんな私なんて構わず、宝生さんも袋の中から自分の分のビールを取り出すとプシュと音をあげ缶を開けた。


「なんかああいう場合だと呑んだ気がしなくてさ、だから、棗ちゃん、ちょっと付き合ってよ」


「……」


いつもとは違う少し砕けた彼の言葉に、隣に立つ彼をまじまじとみつめた。ごくごくとビールを飲み干す彼の姿にほんのちょっとみとれてしまった。


そして、少しだけいつも吸わないタバコの香りと、甘い香水の匂いが彼からする。それが少しだけ気になった。私の知ってるの宝生さんではない気がして。





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