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「あ、あのー、宝生さん?」
暫くの宝生さんの腕を中で大人しくしていた。
一体どうしてしまったんだろ?なぜ抱き締められてるの??
そんな疑問符ばかりで頭の中をいっぱいにしながら。
「あっ、ごめんごめん」
私が彼に声を掛ければ簡単に宝生さんの腕はするりとすぐに離れ。何となく意味不明な彼の行動に戸惑ってしまう。
それに以外にも早かった彼の鼓動にも、全てが以外過ぎて、私はどうしていいのかわからない。
が、彼はと言えば照れ隠し気味にへへへと小さく笑って、私を見下ろしている。でもそこから彼が何を考えているかなんて私には読み取れない。
「おやすみ、棗ちゃん」
再び私の耳元に顔を近付ける宝生さん。いつもより甘い口調でそう言うといつの間にか私から離れ自室へと去って行く。
い…一体、どういう事?
彼の背中をぼんやりと眺めながら思う。本当に訳わかんないよ。そのまま立ち尽くす私は、微かに残る宝生さんの残り香を感じながら、しばらくそこから動けなかった。