ルームシェア



「えっ!」


覚えてる。って。聞き間違いじゃあないよね?


だけど彼の態度は何も変わらない。私だけがドキドキしてる。そんな気がする。


「覚えてるよ。昨日、呑みあってさ、やたらと周りの奴らに酒勧められ、でも、あんま酔えなくて、だから確かコンビニでビール買って……」


「……」



私、何を期待しているんだろ?宝生さんの話を聞きながらそんな風に思った。


多分宝生さんは昨日の事なんて覚えてない。
だから淡々と昨日の事を語れるんだ。


そして、どうしてこんな悲しい気持ちになってるんだろ?
覚えていて欲しかったのかな?
彼にキスした事。抱き締められた事。


認めて貰いたかったのかな?


はぁー、ダメだ。宝生さんの事で頭がいっぱいだ。
なのに目の前居る彼との温度差が私を苦しめる。

< 75 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop