君が好きになるまで、好きでいていいですか?


「大体っ、課長は前に屋上で私に………」


その時、二人のいるところの先から何人かの話し声が聞こえて、万由が咄嗟にそちらを気にして見せると

また腕を引かれ近くの倉庫室に連れ込まれた


「ちょっ、なっ?!」



暗くて、古い資料しか置いてない倉庫室
おおよそ誰も入って来ない


「な、もうっ話はないですからっ………」

「しっ………」

万由の口に人指し指を立てる後藤


「…………っ」

何人かが小さい倉庫室の前を賑やかに通り過ぎて行った


静かになったその場所で微かに漏れる音

♪~♪~♪~ ♪~♪~♪~……………

慧斗からの着信音がまた鳴った。
お昼休憩の間の何度目かの着信

「………………」


「…………出ないの?」


♪~♪~♪~ ♪~♪~♪~………プツッ

電話が切れた


「どうして出ないの?何度もお昼に鳴ってたのに」

万由の腕を掴んだまま、顔を覗き込まれた

「課長には関係ないです。何度も言わせないで下さい」

覗き込まれた後藤から目を合わさない様に顔を叛けた



「まだ彼氏との問題、解決してないんだ」


「…………っ」

この人は、なんでほっといてくれないの?

腕を掴まれたままで身動きがとれない

「…………離して」


「で、彼氏いるのに合コンに参加するの?
何度も電話掛かって来てるの無視して?」

「ほっとい…………」

「ほっとけないって言ったろ………」

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