君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「……………っ」

その踞っている万由の前で身体を屈める後藤

「こんな事されたくなかったら、ちゃんと好きな男にぶつかって行けよ………」

低い声がそう堕ちてくるが、万由はふるふると、頭を振るばかり


「…………怖いのっ」

「は?」

幾分優しい顔に戻る後藤が万由の言葉に顔を覗き込む



「慧ちゃんに会って………また、
つらい事言われたら立ち直れない……………」


万由の前で小さく溜め息をつく後藤

「そっか………」と万由の頭を撫でながらそっと優しい眼差しを向ける


「でも、話さないと沢村さんが前に進めないでしょ…………大丈夫、一人じゃないから」


「………………」

「今こんなこと言っても引かれるかも知れないけどね沢村さん…………」


涙を溜めた瞳で俯いたままの万由を後藤は見つめた


「俺は好きだよ。沢村さんの全部、好きだから………って俺に言われても意味ないかぁ」



「………………」

黙ったまま俯く万由


万由のその様子に

「こんな事して悪かった………」

そう言って後藤はその場を立ち上がり、倉庫室から出て行った



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