君が好きになるまで、好きでいていいですか?
本当の事を言って欲しいんです。


新緑の広がる空 

快晴なのが、少し暑さを感じさせる

…………でもこの時期の、雨季が始まる前の風の強さが幾分涼しく感じさせてくれた

こんな日は、乾燥機になんか入れずに、タオルケットだけでも外に干したい気分だ



そんな土曜日の午前中


「久しぶり……」

窓際のカフェのテーブルから右手を軽く挙げた彼

私より前に来ているのが不思議に感じる


「久しぶりって、そんなにたってないでしょ。」

可愛くない言い方なのは分かってる




「俺、万由とメールも電話も音沙汰ないままこんなに長く過ごした事あったっけ?」

確かに、前はほぼ毎日メールしてた

「……………」


「万由、今日の予定は?」

先に頼んだアイスコーヒーを啜りながらそう言う慧斗に、少し口を濁らせた

「歩美さんが、暇が出来たら電話してって………」

「………………そう」

慧斗は、一瞬フッと目を俯せた

「歩美さん、俺の事嫌いなんだろうなぁ」

前に一度だけ、歩美さんと慧ちゃんは会った事があった。

とは言っても、万由の会社に迎えに来た慧斗と挨拶を交わした程度だったが



「慧ちゃん………?」

そんな世間話をしに来た訳じゃない

注文した万由のアイスコーヒーがテーブルに置かれて、一息ついたところで、万由が口を開く


「和音さん………怪我とかは?」

本当はこんな話、したくないんだけど

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