君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「知ってます? この桜だけ他より咲いてるのは、ここに幽霊がいっぱいいるからなんですよ」

声を落としてそう言うと、目の前のイケメンが身体を引いて急に黙った

「……………」

はれ?
図体が大きい割にもしかしてこの人も恐がり?

後藤が神妙な顔をするのを見上げ、少し後ろめたくなった

「あの、後藤さ………」

「驚いたなぁ、沢村さんも見えるんだ」

「へっ…………?」

  も?

はあっと一回大きな深呼吸をした後藤が、まじまじと万由を見つめた。


「ここ、本当に多いだろ?」


「ななななな………なっなにがっ?!」


「なにがって、幽霊。ほらっ沢村さんの横にっ!」


っ!!!!!

「きゃあああぁぁぁ…………」


咄嗟にその場から跳ね上がり、必死に後藤のスーツにしがみついた

「ヤダヤダっどうしようっ!
見えない見えない絶対見えないから成仏してぇ! 
ごめんなさいっっっ!!」

後藤にしがみついて顔を埋めて叫ぶ


「…………………ぷっ」

しがみついたそのスーツが小刻みにゆれる

「クックックッ…………」

「………?」

まっ…………まさか


「クックッ 自分からふってきたのに、そうゆうのダメなんだぁ…………クックッ」


「なっ!!」

しがみついていたスーツをバッとを離す

「……………嘘なんですかぁ?!」

ぶぅっと頬を、膨らませてそっぽを向く万由


「クックックッ……沢村さん可愛すぎ」


「…………っあのねぇ!!」




「万由っ!!」


名前を呼ばれた方をみ見れば、あわてて走り駆け寄って来る慧斗


「…………慧ちゃん?」
< 11 / 333 >

この作品をシェア

pagetop