君が好きになるまで、好きでいていいですか?

顔を上げず、俯いたまま「はぁっ」と思い切り深呼吸をする


「私、慧ちゃんから離れるね」

「別れるって事?」


「…………そう」

精一杯顔を強張らせて頬を上げる
でもそんなのもたないから、ベンチから立ち上がって帰ろうとした


「万由っ!」

咄嗟に腕を掴まれた

「……………」


「………万由が、俺以外の誰かと付き合うって事?そんなことは俺…………」

強い力で掴まれた慧斗の手に、顔を俯せたまま万由は手を添えて離すように促した


「慧ちゃん……………私はずっとそんな感じだったんだよ。ずっと誰かと一緒にいる慧ちゃんの傍にいたんだよ」


「……………っ」



「…………つらかったから………もう解放して」



手を離してくれた慧斗に、涙も拭わないで見下ろして頑張って笑顔を見せた


「………バイバイ。」


項垂れた慧斗をそのまま後にした




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