君が好きになるまで、好きでいていいですか?






「…………遅い。 ってか、なんて顔して帰って来てるのよ」


「へっ?」


いつの間にか着いていた自分のマンションの部屋の前
そこに歩美が仁王立ちして立っていた

「暇が出来たら電話してって言ったでしょっ、何ぼぉっと歩いてるのよ。こっちは待ってたのに…………」


「あ…………」

万由に手を伸ばし、頬をわしわしと擦り取った

「こんな顔して電車に乗れるなんて、余程頭の中真っ白みたいね。本当にひどい顔」

「ううっ………」


「ちゃんと言いたい事言ってきた?」

優しいその声に、張り摘めていたのが解放された様に、涙が一気に溢れだした

「言ぃって………きた。自分の気持ちぶちまけてぇ………わかれるつもりながったのにぃ…………結局別れちゃったよぉぉ………」

崩れ堕ちるように歩美に寄り掛かると、「よしよし、よく頑張ったね………」とわしわしと頭を撫でて慰めてくれた



その日、歩美さんが持ってきた、色々なアルコール類を昼間から飲み明かした


当然次の日は二人共二日酔いで…………

人生でこんなにつらい気分になるのは初めてで、世の中二日酔い覚悟で酒を飲む人の気がしれないと、この時常に思った






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