君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「いまだ副社長の椅子が不在だろ、
近い身内の浅野主任は降格させられたんだから自分がそこに治まるはずだって思ってたのに…………
あの人も社長が立ち上げたこの会社の忠実な部下だし、しかも身内を結婚させて親戚にまでなって………」


「いくらなんでも社長はまだ暫く健在でしょ?」

「…………それが夫人の具合が余り善くないから、社長業にちょっと集中出来ないみたいなんだ」

オムライスを頬張りながらスプーンを歩美に向けて小声で余り知られていない内部情報を語る


「本当は娘を浅野主任にって考えもあったらしいんだけど、それも主任の出来ちゃった婚騒ぎでうやむやになったって聞いたけど…………」

どうやって知るんだそんな情報…………

「それがどうして今頃後藤さんに話が向くの?」

「そりゃぁ、娘の薫さんは課長にゾッコンだし、浅野主任と後藤課長の企画営業のコンビは最強だからね。このままだとまた主任が副社長に返り咲くのは確実…………」

「でも、その縁談は断ったんだ後藤さん………」


「…………なに?木原はまだ課長に気があるの?」

高石が片眉を上げ頬杖をつき口角を上げる

高石さんも歩美さんが課長を好きだったって知ってるんだ………


「違うわよ。何年前の話よ、本当に桜井さんといい勘違いもいいところだわ」


「ああ、あの課長のキス事件、木原も疑われたの? クックッ大騒動だったよな本当」

「……………」


「まあ結局後藤課長の縁談も、浅野主任と山吹常務の派閥争いに巻き込まれてるって事だよ。そのせいであんな仕事回されてるのに、手を抜こうとしないんだからあの人は」


後藤課長、ずっと忙しかったんだぁ


私に構ってる暇なんてなかったのに………



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