君が好きになるまで、好きでいていいですか?


「…………乗らないの?」


久しぶりに目の前に立つ後藤
先にエレベーターに乗り込むと足を止める万由にそう聞いた

「乗ります………」


他の人が乗り込む様子もなく、そのままエレベーターの扉は閉まった



「…………5階でいい?」

「…………はい」

気まずい、なんとも言えない空気が漂う


「高石は、一緒じゃないの?」

階数ボタンの横の壁に凭れかかる後藤


「えっ?あ、いや………まだ話があるからって……」

「そう……………」

沈黙になりそうな雰囲気に万由も口を開いた

「………………課長は?」

「え?」

「山吹さんと二人でいましたよね」

なんとなく同じような質問をしてみた

「彼女は総合受付に用事があって、今さっき別れたけど…………………」

「とっても仲良さそうでしたよ。まるで恋人同士みたいに………」


「……………」


気が付くと後藤が黙って万由を見下ろしていた

「…………なんですか?」


「いや、なんか妬いてるみたいだったから」

少し嬉しそうな顔した後藤に思わずカァッとなる

「違いますっ」

何イラついてるんだろう………私


俯いた万由の顔を覗き込む後藤
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