君が好きになるまで、好きでいていいですか?


***

「後藤課長、企画との打ち合わせ遅れますよ」

「ああ……直ぐ行く」

頭にある一つ一つの業務を、まるでファイル別に整理してそれを引き出すように作業内容を切り替える


自分主体のムロイ工業の案件の他にも、幾つかの手を出さなければ進められない部下の案件の書類に目を通さなければと、デスクに社別のファイルを積んだまま

打ち合わせに行くためにパソコンをセーブし、席を立つ


6階の会議室フロアーに行く途中、帰社してきた部下に呼び止められ、軽く報告を受けた。

「悪い、後は報告書にしといてくれるか?明日までに目を通すから」




「……………課長、この打ち合わせの後ムロイ工業に行くんですよねぇ。机に乗ったファイルも今日目を通すって言ってたのに、今日何時に帰るつもりですか………?」


呆れるようにそう言いながら、後藤と打ち合わせに向かう高石


「少し部長に流したらいいじゃないですか?」

「高石、この打ち合わせ資料一ヵ所誤字があったぞ。あと原案の書き出しの順番が逆だ。ちゃんと見直したのか?」


「あ………すみません」


「まあ、打ち合わせは身内だからいいが、終わったら打ち合わせ内容と一緒に直しておけよ。」

自分用の資料に訂正箇所を歩きながら書き加え、高石持つ資料と差し替えた
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