君が好きになるまで、好きでいていいですか?


この………整った顔で長身、いつものスーツと違うラフなTシャツに夏用の品のあるジャケット

周りの女性客からチラホラと注目を浴びている

「パパっ!」

甲高い男の子の声が主任に向かって走り寄ってきた

その途端、注目していた女性客の肩を落としたような溜め息が聞こえた

「琉成(りゅうせい)おいでっ」


5歳位の浅野になんとなく似た男の子

「え………パパ?!」

「そっ、僕の息子の琉成」

さすがイケメンの子は美形だわ…………


あ………そうか確かできちゃった婚してたけど、子供が生まれた後に浮気して離婚したんだっけ

じゃあこの子はその時の…………

「もしかして、僕の黒歴史の話が今頭に浮かんでる?」


「へっ?!」


男の子をジッと見つめる万由に苦笑いをする

「いや…………すみません」

「いいよ、その通りだから。離婚してこうしてたまに会ってるんだ。もう5歳になるよなっ、琉成」

「…………この人だぁれ?パパの彼女?」


「?!!」

いっ………今時の子は、まるで人気子役みたいな瞳で見上げてくるんだから…………

そう思いながら身体を引いて慌てて首をふるふると振った

「違うよ、このお姉ちゃんはパパの会社の人だよ。」

そう言って頭を撫でながら「ママはまだ?」と聞いた




「琉成、急に走りださないでよぉ……あら?」


えっ?! まさか、噂の社長秘書?!
ってか離婚した奥さん…………

……………きっ綺麗な人、とても子供を生んだ人には思えない…………確か噂によれば主任より年上だって聞いたけど

「…………」

この二人の子供なら美形なのも頷ける………


「パパの彼女じゃない人だってぇ」

元奥さんらしい人にそんな事言うもんだから思わずギョッとした

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