君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「万由ちゃんはヨシが好きじゃないの?」


「好きとか、そんな風には…………彼と別れたばっかりだし」

思わず車窓の方に目を逸らした

「別れたばっかりだったら恋愛しちゃダメなの?」

後藤越しに浅野が万由の顔を覗き込む



「…………きっと重みが違います」

「寂しいから、自分を好きになってほしいって思ってもいいと思うんだけどなぁ………
好かれたいって事は、もう好きなんじゃない?」


「……………」





浅野と後藤のマンションに向かい、鍵を開けてベッドまで運ぶために部屋までに入った

「じゃっ、後は頼むねっ万由ちゃん」
「えっ!私も帰ります。」

クーラーのスイッチを入れてさっさと帰ろうとする浅野の後に付いて玄関に向かった

「ダメだよ。ヨシが寝てる間に吐いたもののどに詰まらせたらどうするの?
あんなに飲んだんだから、きっと苦しいだろうし、ちゃんと介抱してあげないと
優勝賞品まだあげてないでしょぉ」


「だっ………それは主任が勝手に」

玄関で靴を履く浅野と一緒に玄関の靴に足を下ろそうとすると、軽く押し戻されこの部屋の鍵を渡された


「お願いね。僕はこれからデートだから」


「なっ、ちょっとそんなの嘘ですよねぇ」


 バタンッ 


ゆっくりドアが閉められた

「……………」

酔っ払ったままスーツでベッドに寝かされた後藤は、確かに苦しそうだった


「大丈夫ですか?課長………」


仕方無くネクタイとYシャツのボタンを外して楽な状態にして、
ベッドの横にあるサイドテーブルに買ってきたミネラルウォーターを置いた

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