君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「ううっ…………」



完全にベッドに埋もれるように赤い顔で眠る後藤

仕方無くベッドの横に座り彼の顔を見つめた

「今日は…………うちに送ってくれるんじゃなかったんですか?」

………なんてね。まるで少し期待してたみたい

なんとなく部屋を見回すとなかなか乱雑な部屋だった
慧斗の部屋より広く、LDKの他にも2部屋ある

結構高給取りなんだ。ここ、会社の駅近くだし

沢山の本がパソコン机に積まれ、家にも仕事を持ち込んでいるのか、見覚えのある書類もあった

こんな状態でいつ寝てるの?
って言うか疲れてる筈なのにあんな飲み方して、いつ身体壊してもおかしくないじゃない…………

部屋、片付けたりしたら幾らなんでも図々しいよねぇ………


「んっ………うっ……」

苦しそうに額を歪ませる後藤に顔を寄せた

「お水飲みますか? 課長?」

少し目を開けた切れ長の目に、一瞬ドキッとした

「…………万由…………?」


「へっ?」

虚ろな瞳で見つめられ、ゆっくり大きな手が万由の頬に伸びてきた
唇から自分の名前を呼び捨てにされて、
ますますドキドキする

「め…………目が覚めたんですか?」


「ま………いか……で、………に」

「………?」

なんだかよく聞こえない……

聞こえるように、顔を寄せると後藤の瞳がフッと優しくなった


「………好きだよ」


触れる手の下の頬がチリッと熱く感じた


「私なんて、課長に酷い事しか言ってないのに………」


「シタい………」


「はっ?」
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